革新的企業の代表格だったソニーも大企業病とは無縁でなかったらしい。出井伸之会長の掲げる強気の目標は、果たして達成可能なのか―― 四月二十四日、市場の引け後に二〇〇二年度(二〇〇三年三月期)のソニーの連結業績が発表されると、事前の予想を遥かに下回る内容を嫌気して、ソニー株は翌日から連日のストップ安を演じた。四月二十八日につけた直近の安値二千七百二十円は、IT株ブーム当時の六分の一の水準だ。三月決算企業の株主総会前にアヤ戻しを演じるバブル崩壊後の株式市場のパターンに乗じて、ソニーの株価も三千五百円前後まで戻してきたが、市場がソニーの戦略に全幅の信頼を寄せているとは言えない。 五月二十八日に開かれたソニーグループの経営方針説明会では、「二〇〇六年度の売上高営業利益率一〇%」という高い目標が掲げられた。グループの売り上げの約三分の二を占めるエレクトロニクス部門の商品競争力が落ち、最終の第4四半期には一千億円超の最終赤字を計上したソニーの現状から見ると「常識はずれ」とも思える数値だが、実現は可能なのか。また、「ゲームとエレクトロニクスの融合」を標榜するソニーの戦略を体現する新商品として、「PSX」が年内にも発売されることが発表されたが、こうした戦略は「ソニーショック」を払拭するに足る内容と言えるのだろうか。

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