ブッシュ政権の「日本マネー利用法」

執筆者:小田博利2003年7月号

米国の支持を得て再選狙いの有卦に入った小泉首相。怖いものは何もない? 市場は「日米融合経済」という、危うい足場の上に立っているのだが……。 日米間に新たで広範な同盟が作られようとしている。再選を狙う両首脳が外交・安全保障から経済・金融に至る、相互補完関係を強化しているのだ。日米株価の持ち直しは、こうしたカラクリに支えられた典型的な政治相場にすぎない。束の間の幸せに、危機の構造から目をそらそうとする人々に待つものは……。 同情すべき人物がいる。盧武鉉韓国大統領だ。五月の訪米に続き、六月の訪日。軟弱外交だとする韓国内のメディアや自らの支持層からの突き上げは、さんざんなものだった。北朝鮮を「悪の枢軸」と名指すブッシュ米大統領とその尻尾につかまる小泉純一郎首相に対して、盧大統領は「対話」と「平和的解決」を訴えるのに精一杯だった。 訪日は日本の有事立法の成立とも重なり、さらにイラク新法の準備の報が盧大統領に追い討ちをかけた。「近隣を顧みない無礼な振る舞い」といった論調が韓国のメディアには目立った。歴史認識にほとんど触れない日本側に、「未来志向」を語ったことも、韓国民の目には大統領の弱腰と映ったことだろう。

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