統治機構の細部にまで入り込む財務省の影響力はどうすれば削げるのか。政務担当の首相秘書官として橋本行革を支えた江田憲司氏に聞いた。――改革を標榜する小泉政権についてはどうとらえていますか。江田 明白に「財務省主導政権」でしょう。改革の実態は単なる財政の帳尻あわせがほとんどです。――具体的にどこが問題ですか。江田 まず挙げられるのが医療制度改革。小泉総理は「三方一両損」と称して診療報酬の引き下げや医療保険の本人負担の引き上げ、中小企業中心の政府管掌健保の保険料の引き上げなどには踏み切りましたが、診療報酬体系や高齢者医療制度そのものの見直しには踏み込んでいない。これは厚生労働省というより、「財政の論理」を優先させた財務省の目先の利益を重視した結果に他ならない。「政治」の場にも入り込んで……江田 第二に郵政三事業改革です。橋本さんと小泉さんが対決した一九九五年の自民党総裁選の時、橋本通産大臣秘書官だった私は何度も小泉さんの演説を聞きましたが、本当に「郵政三事業民営化」しか言っていなかった。それくらい熱意を持っていたはずなのに、橋本政権で到達した郵政公社化、郵便事業への民間参入から一歩も先に行っていない。

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