米中央情報局(CIA)によるイラン政権転覆工作が本格化してきた。米国は、イランのブシェール原発建設を支援するロシアに、ハタミ体制崩壊の見通しを伝え、原発建設を当面見合わせるよう圧力を強化している。ロシアは表向き建設推進の立場を崩していないが、工事を遅らせて状況の推移を見守っているのが実態だ。 CIAのシナリオでは、七月九日の民主化運動記念日を契機に、各地で反政府運動を活発化させ、政権打倒の「予行演習」とする。その後、十一月から十二月の政権交代を目標に反政府陣営への資金援助を強化。政権転覆が首尾よく進んだ場合、イスラム革命前夜の一九七九年に出国して現在米国に滞在している元国王の息子、レザ・パーレビ氏をタイミングをみて帰国させ、新政権の首相職などに据えようとの目論見もある。 ただこの間の十月には、石油資源が豊富な隣国アゼルバイジャンで、親米路線をとるアリエフ大統領が長男への禅譲を前提に出馬する大統領選挙がある。イランの混乱が波及して情勢が不安定化すれば、米資本の石油権益も脅かされる恐れがあり、このため米政権はイラン政権転覆の時期を隣国の大統領選挙の後に設定したようだ。

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