ペルーのトレド大統領(五七)は六月末、内閣を改造し、ベアトリス・メリノ国税庁長官(五四)を新首相に抜擢した。二〇〇一年七月に発足したトレド政権下三人目の首相で、女性の就任は同国初。 フジモリ政権の「汚職と人権弾圧」を追及し、大統領にまで上り詰めたトレド氏だが、雇用改善の遅れや自身の「隠し子騒動」で、このところ人気はさっぱり。最近は悪名高い極左ゲリラ「センデロ・ルミノソ(輝く道)」も活動を再開し、政権発足時に六〇%前後だった支持率も六月には一一%にまで落ち込んだ。 ペルーの首相は「内閣のまとめ役」的存在で、実権はそれほど大きくないが、メリノ氏は決して政権の「お飾り」ではない。フジモリ政権時代は国会議員を務め、二〇〇〇年大統領選では野党陣営の副大統領候補にもなった弁護士で、国税庁長官としても税制改革に辣腕を振るった。 最新の世論調査によれば、メリノ氏の首相指名を「良かった」とする回答は七一%と、まずは上々の滑り出し。ただ、肝心の大統領支持率は、わずか三ポイント増の一四%止まり。国民向けの「顔」をすげ替えても、人気回復は容易でないようだ。

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