イングランド代表のデビッド・ベッカム選手を獲得したスペインのレアル・マドリードは、七月末からアジア・ツアーを開始、北京、東京、香港、クアラルンプールで地元チームと試合をする。背番号23をつけたベッカムがスター軍団に交じって世界デビューする。 選手としてのベッカムは、右からの正確なクロス、フリーキックには定評があるが、フランス代表のジダンと比べ超一流とは言い難い。しかし、「ブランド商品」としては超一流。二〇〇〇年夏に就任したレアルのペレス会長が作った経営モデルを完成させるには、どうしてもベッカムが必要だった。 レアルは二〇〇〇年から〇二年までの三年間で、収入を二億五千万ユーロ(約三百二十億円)と二倍以上に増やした。その成功の秘訣は、スター選手を集めてチームのブランドを高めただけでなく、スター選手の「肖像権」を握り、選手自身をブランドとして売り出したことにあった。ジダン、ロナウド(ブラジル)、ラウル(スペイン)……。アディダスやペプシなどとのスポンサー契約では、これら選手や試合写真の肖像権使用を組み合わせた。そこに、「ブランド価値七千万ユーロ」との試算もあるベッカムが加わる。今回の契約では、肖像権のかなりの部分をレアルが手にしたとみられ、個人契約のスポンサー収入も本人とレアルが折半する。

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