メディアバブルの崩壊で経営が苦しくなっていたイングランド・プレミアリーグのサッカーチームに救世主が登場した。ロシアの若き石油王ロマン・アブラモビッチ氏(三六)。このほど約六千万ポンド(約百十億円)を投じてロンドンの強豪チーム、チェルシーの株式の過半を取得してオーナーに就任、同時に約八千万ポンド(約百五十億円)の負債も肩代わりし、財務上の問題を一気に解決した。 ロシア第五の石油会社シブネフチを実質支配するアブラモビッチ氏は国内では二番目の富豪。元々エリツィン一族と近かったが、プーチン政権下で極東のチュクチ自治管区の知事を務め、「オリガルヒ」(新興財閥)と呼ばれる有力者の仲間入りをした。国内ではオムスクのアイスホッケーチームを手に入れており、次のターゲットとして「マンチェスター・ユナイテッド、トットナム、アーセナルにも興味を示していた」(英イブニング・スタンダード紙)という。 アブラモビッチ氏は二千二百万ポンド(約四十億円)を投じて、世界各国のスター選手を獲得する意思を表明。早速、イタリアのインテル、ラツィオなどのオーナーに直接会いに行き、選手の獲得に自ら乗り出した。中田英寿選手の入団が取りざたされたのも、オールスター軍団を求めているからだ。一方で、シブネフチを切り盛りしていた右腕のE. シュビドラー氏をチェルシーのトップに起用するなど、経営を改革していくのも間違いない。

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