「北朝鮮はこのままいけば、おそらく半年後には核兵器を手にする。そうなれば、アメリカと北朝鮮が武力衝突するのは避けられなくなるかもしれません」 かつて平壌を訪れた初めての米外交官となり、一九九四年の米朝枠組み合意成立に奔走した元米国務省北朝鮮担当官ケネス・キノネス氏は、七月はじめに訪れた東京で、北朝鮮と米朝関係の行方に厳しい見方を示した。「ブッシュ政権は北朝鮮との交渉を拒否しているが、仮に交渉が行なわれたとしても、失敗は目に見えている。アメリカの求めるものと北朝鮮の求めるものが、どうやっても相容れようのないものだからです。イラク戦争を目の当たりにした金正日は、もはや核武装することが唯一の生き残り策だと考え、逆に、ブッシュ政権は北朝鮮が核兵器を持つような事態は決して許さないと考えている」 キノネス氏は、私たちは現在、新たな「現実」に直面していると言う。それはどのようなものなのか。「北朝鮮、とりわけ北朝鮮軍は、アメリカと日本、韓国が連合して侵略してくると本気で思っており、体制を維持することが至上課題だと信じている。これが彼らにとっての『現実』です。 そして金正日は、ブッシュに屈するつもりは毛頭ない。“抗日運動を率いた”ような輝かしい過去のない金正日にしてみれば、これこそが『帝国主義者との闘争』となっているからです。これが彼にとっての政治的現実です。

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