防衛庁は、イラク復興支援特別措置法成立を受けて、早ければ十一月にもイラクに派遣される陸上自衛隊から犠牲者が出る可能性を考慮し、遺体の日本への移送方法について極秘で検討に入った。自衛隊はこれまで国連平和維持活動で世界各地に派遣されたが、犠牲者の遺体移送オペレーションの検討に着手したのは初めて。「遺体をイラクから日本に移送する場合、自衛隊の輸送機C130では航続距離に限界があり、約四日はかかる」(防衛庁幹部)とされ、酷暑のイラクからでは遺体の腐敗は避けられない。そのため、カタールやクウェートなどから民間航空機を使うしかないという状況だ。 だが、こうしたシミュレーションを実施しているという情報が漏れれば、国内世論が「自衛隊派遣反対」に一気に傾きかねず、緘口令が敷かれているという。「官邸はイラクへの自衛隊派遣の道筋を作っておきながら、犠牲者が出た際の、残された家族への対応などについては何の指示も出していない。自衛隊はまさに政治の道具にされている」(自衛隊関係者)との批判が出ている。

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