アメリカだけが頼みの綱なのに、米軍とのデータリンクに踏み切らなかった自衛隊。だが、“独自の道”は絵空事にすぎない。喜ぶのは防衛産業だけだ。 世の中はアメリカン・スタンダードで動く。中でも「防衛」はその典型、と思ったら大間違い。大手を振っているのは「ジャパニーズ・スタンダード」である。だが、結果は無残。世界最先端技術を盛り込んだ国産兵器は、超高価だが実戦では使えない。金額面では英仏、中国をしのぐ世界有数の「軍事大国」でありながら、「敵」が陸海空から攻め込んできたら米軍なしではひとたまりもない。日本はアメリカに従属するしか自国の安全を守る方法はないのだ。 かくして、政治と外交はアメリカン・スタンダードに追従する。その反動か、軍事技術だけは「国産」ナショナリズムがますます幅をきかせ、これまでの失敗を省みない。唯我独尊、大艦巨砲主義で自滅した先の敗戦の教訓から学ぶことがない。 エピソードがある。IT(情報技術)の時代となり、防衛庁も高度ネットワーク環境の整備をめざして、中期防衛力整備計画(平成十三―十七年度)で「防衛情報通信基盤(DII)」と題する全自衛隊の統一的なネットワークの構築を進めている。DII計画を始める前に、次のような議論があった。

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