ダムや高速道路の建設より、「少子化」対策にこそ予算を割くべきだ。出生率低下の原因と日本経済への影響を明らかにしつつ、具体策を提案する。 日本の合計特殊出生率は毎年、過去最低記録を更新しており、二〇〇二年には1.32にまで減少した。少子化の進展に歯止めをかけたい政府は、子育て支援策を拡充している。七月九日には「次世代育成支援対策推進法」と「改正児童福祉法」が、二十三日には「少子化社会対策基本法」が、相次いで成立した。 次世代育成支援対策推進法では「全ての子育て家庭への支援」や「仕事と家庭の両立」を実現させるために、自治体や企業に二〇〇四年度中に数値目標を含む「行動計画」の策定を義務付けている。 一方、厚生労働省は二〇〇四年度の少子化対策の骨格を七月にまとめており、その中には、(1)不妊治療への年十万円の助成(2)児童手当の支給対象年齢の拡充などが盛り込まれている。しかし、これで出生率が急に改善するのだろうか。日本政府の少子化対策は省庁縦割り行政の典型で、国をあげて人口増加策に真剣に取り組もうとする覚悟が感じられない。後述するが、高齢者対策に比べ、少子化に対する予算配分は圧倒的に少ない。果たして、今回成立した少子化社会対策基本法の文面を読んで、少子化の改善を「当事者」として考えるべき“若者”は「子供を最低二人作ろう」と思うだろうか。

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