日本の少子化対策が、いかに遅れ、小規模なものか、諸外国と比較すれば一目瞭然だ。疾く早く、子供を育てやすい社会を作らなければ、国が土台から揺らいでしまう。 わが国で少子化対策が本格的に議論され始めて十年以上が経過した。さまざまな審議会が答申をまとめ関連法案も成立をみたが、問題意識の高まりとは裏腹に、合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子供の数、以下単に出生率とする)は下降の一途を辿っている。昨年一月に公表された「日本の将来推計人口」は、今後五十年の間出生率はほとんど回復せず、長期的には1.39で安定するというシナリオを描き話題になったが、二〇〇二年の出生率はそのシナリオをも下回る1.32と、史上最低記録を更新中である。「少子化問題は経済水準の向上や女性の社会進出の結果で先進国の証明である」として、現実を甘受すべきという意見もある。しかし人口構造の変化がもたらす社会的・経済的な影響は甚大で、放置すれば国が崩壊しかねない。結婚や出産はいうまでもなく個人の自由だが、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査(二〇〇二年)」によれば、わが国では夫婦の平均予定子供数(2.13人)と平均理想子供数(2.56人)との間に大きな差があり、「産みたくても産めない」という現実を示している。少子化対策の眼目はまさにこうした格差の是正にある。

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