いま中国企業が「日本を買う」理由

執筆者:天野真也2003年9月号

 中国企業と日本企業の提携は、海爾(ハイアール)と三洋電機、あるいはTCLと松下電器に代表されるように家電製品分野で進んできた。だが最近では、業種、提携分野ともに範囲が拡大すると同時に、その中身も多様化しつつある。 中国最大手の重電機メーカー、上海電気などが民事再生手続き中のアキヤマ印刷機製造を買収し、アキヤマインターナショナルを設立したのは二〇〇一年十一月。中国企業による初の日本企業再生の試みとして注目を集めた。 中国最大のオンラインゲーム運営会社盛大ネットワークは、今年五月に日本のゲームソフト開発のボーステックと資本参加を含む業務提携を行なった。中国企業が日本のゲームソフト企業に出資する初めてのケースとなる。ボーステックの開発した『銀河英雄伝説』『MACROSS』は中国でも人気が高く、盛大ネットワークがライセンス許諾契約を申し入れたところ、ボーステックから資本参加の要請があったといわれる。 中国のオンラインゲーム市場は二〇〇二年で百二十億円、二〇〇三年は二百億円規模に成長すると予測される。盛大ネットワークは「日本で開発されたソフトを素早く中国市場に投入していきたい。また、版権ビジネスとして成立するものであれば、ボーステック以外の日本企業にも資本参加を検討したい」と意欲をみせている。

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