経済政策もすでに「選挙の論理」に支配された。政策立案の主導権はローブ顧問やカード補佐官といった手練れのブッシュ側近たちが握っている。しかし、楽観シナリオに基づく再選戦略は、本当にうまくいくのだろうか。 九月四日、記者会見嫌いで知られるブッシュ米大統領は、米経済専門ケーブルテレビCNBCによる単独インタビューに応じた。政府要人がテレビ出演することは珍しくないが、大統領自身がわざわざ経済専門チャンネルに出てくるのは異例中の異例である。 九・一一同時多発テロ以降、テレビメディアはほとんど「大政翼賛報道」一色。どこに出てどんなメッセージを伝えるかは、ホワイトハウスの意のままだ。CNBCは市場関係者や経済専門家がチェックする情報チャンネルで、政権批判などより「有用な投資情報」を絶え間なく流すことに重点を置いている。大統領の肉声も投資家にとっては重要情報の類に属するだろう。ホワイトハウスにとって、政権の立場を一方的に告げるには極めて好都合なメディアだ。「減税により二〇〇一年の景気後退から立ち直りつつある」「雇用が産み出されてくるのはこれからだ」「財政赤字は誰の責任でもない。景気が回復すれば元に戻る」

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