ロシアと北朝鮮、凍りはじめた蜜月

執筆者:藤村幹雄2003年10月号

六カ国協議を機にロシアの親北朝鮮姿勢は影をひそめた。友好国の離反で一段と北朝鮮の孤立は深まっている。[モスクワ発]ロシアの次期駐日大使に決まっているロシュコフ外務次官(アジア担当)は内心、北朝鮮の金永日外務次官に怒り心頭だったに違いない。八月末の北京での六カ国協議でコケにされたからだ。 ロシアが朝鮮問題の多国間協議に参加するのは初めてとあって、ロシア外務省は並々ならぬ意欲を見せた。事前にすべての国と折衝を行ない、北京にも一番乗りした。核開発中止の見返りに、多国間で北朝鮮の安全を保証するとの提案を掲げ、「米朝の仲介役」を任じて臨んだ。ロシュコフ次官は北京で、金次官との個別会談を真っ先に求めた。 ところが、金次官は他の代表とは次々個別に会談、日本の藪中三十二外務省アジア大洋州局長には北朝鮮側から会談を申し入れたのに、ロシアには「時間がない」と断り続けた。ようやく二十八日夕実現した露朝会談で、ロシュコフ次官がロシア提案を示すと、金次官は「自分の国は自分で守る。必要なのは米国の保証だけだ。ロシアが絡むと複雑化する」と突っぱねた。ロシュコフ次官は「驚くべき反応だった」と記者団に語った。 会談後、同次官は「北朝鮮は共同文書採択に反対しなかった」として、「明日採択」とタス通信などに語った。しかし、北朝鮮は採択を拒否、結局文書は議長総括に格下げされ、同次官は信用を落としてしまった。

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