竹中金融担当相は更迭か

執筆者:2003年10月号

「大久保(利通)だってあの西郷(隆盛)と戦ったんだ。穏便に、では戦にならん!」 番号を公開していない総理大臣執務室の電話。小泉純一郎の声が響き渡る。あまり波風を立てないで丸く収めたらどうだ、というアドバイスに小泉が反論しているのだ。 派閥の力を結集して小泉を政権の座から引きずり降ろしたいともくろむ亀井静香、野中広務ら反小泉グループ。それに対して小泉は派閥に頼らず、たった一人で抵抗勢力をねじ伏せようとしている。少なくとも表面的には、そう見える。 しかしながら、眼光紙背に徹して政局を見ると、あちこちに小泉が仕掛けた罠が見えてくる。小泉印のクサビが、方々に埋め込まれているのだ。このクサビの存在を発見せずに、総裁選後の政局を読むことはできない。総裁選での勝ち負けばかりでなく、人事の骨格まで見えてくるのだ。 総裁選の対抗馬として小泉が恐れていたのは、政調会長麻生太郎と、総務会長堀内光雄だ。この二人のもとへは、小泉の意向を受けた使者が何度も出向いた。最終的に麻生を説得したのは麻生が所属する河野グループの長である河野洋平だった。「太郎ちゃん。考えたほうがいい。小泉は前回の総裁選で自分と戦った太郎ちゃんを政調会長に取り立てたんだ。今度、また戦いを挑むということになれば、これはもう人の道に外れることになるよ」

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。