ワシントンの消息筋によると、米中央情報局(CIA)など米国の情報機関は最近逮捕したイラクのフセイン政権高官らの供述から、ロシアが米軍の対イラク侵攻の数カ月前に軍事代表団をバグダッドに派遣し、大量破壊兵器の隠蔽工作を手助けしたとの情報をつかんだ。 大量破壊兵器が発見されないことへの非難をそらし、ロシアに責任を転嫁するための情報操作の可能性もあるが、これらの情報によれば、代表団の最高責任者はプリマコフ元首相。東洋学研究所長だった一九七〇年代末からイラクの兵器開発計画にかかわり、フセイン大統領とも個人的親交を深めた。同氏がイラクで指導した開発計画は、兵器や工場が発見されそうになった場合にはただちに処分が可能という方式で、これは冷戦時代に東欧諸国で広く行なわれていたものと同様だったという。 プリマコフ氏は昨年暮れから度々バグダッドを訪れ、フセイン政権に大量破壊兵器の隠匿・廃棄を説得、実行させるのに成功したとされる。その裏には、米軍侵攻後に大量破壊兵器が発見され、ロシアの関与が露見することを恐れたプーチン大統領の指示があったといわれる。

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