高速道路の正しい使い方

執筆者:成毛眞2003年10月号

 わが故郷の街、札幌で催されたパネルディスカッションに出席したことがある。テーマは「北海道経済再生への道」というもので、自説である中央政府からの自立を論じてみた。ほかの東京在住である北海道出身者の方々もベンチャーへの期待などを語っていたのだが、いっぽうの北海道在住者の発言は大自然を強調した観光や産業に重点がおかれていた。 思わず反論した。北海道の中心都市である札幌を見るかぎり、どこにその大自然があるのかが分からなかったからだ。人工的な噴水と芝生、コンクリートの歩道しかない大通公園を大自然だと思っているのか。北海道人からは自然などないと思われている東京の一画、井の頭公園の歩道は舗装などされていない。モニュメントとしての噴水などはなく、湧き水の池ではボート遊びを楽しむことができる。おなじく自宅近くの広大な野川公園は武蔵野の昔のまま、雑草に覆われた川原と雑木林が残っている。 さすがに札幌はスキーでは分がある。車で十五分も走ればジャンプで有名な大倉山に着くからだ。東京からだと一番近い富士山麓でも最低二時間はかかる。しかし、その富士山麓では夏には水上スキーや乗馬、テニスを楽しむことができるのだ。

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