ロシアの東シベリアから極東へ石油と天然ガスを送るパイプラインの敷設先をめぐって日本と中国が争うなか、プーチン政権は敷設ルートの決定を少なくとも二〇〇四年九月まで延期することにしたようだ。 二〇〇一年にはいったん中露の間で大慶ルート建設で基本合意が成ったものの、その後、日本も今年に入って小泉首相や川口外相が訪露するなど巻き返しに出た。クレムリン内部も日本につながるナホトカ・ルート支持派と中国直結の大慶ルート支持派に分かれ、日中双方からの支援引き出し合戦が続いている。 プーチン政権は中国に対して石油の輸送には鉄道を用いる線を推し始めており、モスクワの情報筋によれば、そうすることでパイプライン敷設を先送りにし、さらに日本と競わせる腹だという。 とはいえ、日本より中国からの方が最終的には多くを得られるとの見方がモスクワでは強まっているという情報もある。中国にとってロシアは唯一地続きの石油輸入先。安全保障の点からも中国指導部が東シベリアとのパイプライン直結は不可欠と判断すると考えられるためだ。

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