出光よどこへ行く

執筆者:2003年11月号

 苫小牧の北海道製油所でタンク火災を起こした出光興産の先行きに経済産業省や業界が懸念を深めている。北海道で灯油など石油製品の最大需要期である今年の冬場の製油所稼働が絶望的となり、経営への打撃が深刻だからだ。苫小牧市の住民は製油所の安全確保に対する出光の姿勢に反発を強めており、早期再開どころか、このまま製油所が閉鎖に追い込まれる不安すら出ている。 経産省としては民族系石油会社との合併を図りたいところだが、出光の経営規模や負債の大きさを考えて、新日本石油、ジャパンエナジーなど各社は二の足を踏んでいる。産業再生機構に持ち込む道もあるが、やはり経営を引き継ぐ企業が現れる可能性は低い。 ただ、「徳山製油所(山口県)の閉鎖や全社人員の三―五割カットを達成、千葉と愛知の両製油所が軸の石油会社に戻れば妙味が出てくる」との指摘が業界内にはある。産業再生機構を活用するケースでも、リップルウッドなど投資会社や英BPなど外資系企業が再生に手を挙げる可能性は残っている。実際、関係者の間では日本に製油所や販売拠点を一切持たないBPが出資を検討中との見方も。

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