免許更新で見てしまいました

執筆者:成毛眞2003年11月号

 運転免許証の更新をした。土日のスケジュールが詰まっていたため、会社を休んで平日に府中免許センターに行った。会社には退職警察官再雇用プログラムの見学と連絡しておいた。この三年間無事故無違反なのだが二時間の講習つきだったからだ。免許を取得してはじめて更新する人たちと同じ扱いなのだ。おそらく、昨年の紛失再発行の咎めなのであろう。 免許の更新手続きそのものは数年前にくらべて、事務手続きがコンピュータ化され恐ろしく速くなった。案内所で用紙をもらい、印紙を貼り、視力検査をし、講習を受けるまで十五分もかからない。しかも係員の対応はおおむね親切だ。 ところがその先に二時間の講習が待ちかまえている。予想にたがわず六十五歳の白髪の講師が入場。大音量のマイクでゴホゴホと咳をしながら話を始めた。プログラムそのものは、参加者が最も関心のある講習後の免許証の受け取り方の説明から始めて気を引き、酒酔い運転事故の悲惨さを紹介するビデオを見せる。残された家族の悲惨さ、酒酔い運転の悪質さをドキュメンタリータッチで紹介しているのだが、なぜかレポーターはワイドショーの芸能レポーター。一瞬唖然とする。 しかし、それもそのはず免許更新に来ている人たちが凄いのだ。北欧人のような真金髪のうえ手首まで刺青をしている二人組がいる。刺青をこわごわ眺めてみると四天王。顔は完全に外人離れしていることはいうまでもない。親分も手を焼いているのではないかと妙な心配。

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