有力香港企業家の後継者たちが「北京詣で」

執筆者:樋泉克夫2003年11月号

 国慶節を前にした九月二十七日午後、胡錦涛国家主席は「香港工商界知名人士訪京団」と会見し、「愛国愛港の伝統を発揮して董建華長官を積極的に支持すること」を強く要求。これに対し団員の一人である李嘉誠は香港と深シンとにまたがる工業特区の建設を提案している。 八〇年代半ば以降、香港の有力企業家の北京詣では慣例化し、これが彼らの中国ビジネスに大きな保証となってきたことはいうまでもない。ただ、今回は団員たちの多くが後継者世代を伴って北京入りした点がこれまでとは違っていた。当日、曾慶紅国家副主席、呉儀国務院副総理、唐家セン国務委員、廖暉港澳弁主任主席など香港政策トップを引き連れて会見に臨んだ胡主席は一人一人と握手し、後継世代の心をシッカリと掴んだとか。 今回、香港最大の親北京企業家で知られる霍英東全国政協副主席に率いられて胡主席との会見に臨んだ後継世代は、李沢鉅(父=李嘉誠/所属=長江実業)と李沢楷(同前/PCCW)の兄弟、胡文新(胡応湘/合和実業)、黄志祥(黄廷芳/信和集団)、陳智文(陳有慶/香港亜洲金融集団)、曾智明(曾憲梓/金利来集団)、鄭成熈(鄭維志/富聯国際)、林建康(林百欣/麗新集団)。これに、父親とは関係なく独自に事業を展開する若手として鄭海泉(恒生銀行)、伍歩高(永隆銀行)など。彼らもこれからの香港の不動産・金融・流通・インフラ建設・メディア業界などの中軸を担いうる若手といえる。今回は後継者を同道しなかったが、李兆基(恒基)、郭炳湘(新鴻基)、鄭裕トウ(新世界)、呉光正(会徳豊)、ユダヤ系で香港非中華系財閥最大のカドリー家当主マイケルなども訪京団の有力メンバーだ。

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