今年七月末、UFJホールディングスの実質筆頭株主に「ソブリン・アセット・マネジメント」なる投資会社が登場した。一〇〇%子会社の「ミント・セキュリティーズ」「ローン・セキュリティーズ」の二社を通じてUFJの発行済み株式(優先株を含む)の五・一%に当たる二十九万六千株を取得したのだが、このソブリンなる投資会社、株主としては中々厄介な存在のようだ。 UFJはソブリンについて、「長期保有を基本的な投資方針として掲げるグローバルな投資家」「当社の改革姿勢を高く評価していただいている」と語り、つとめて冷静な対応を心がけている。だが現実には狼狽ぶりは相当なものだという。実はUFJは、ソブリンの持ち株比率が五%を超え、大量保有報告書が提出されて世間に知られるはるか以前から、ソブリンとの接触を続けてきた。UFJホールディングスの杉原武社長自ら先方に会いに出かけ、「相手に牙を剥かれないよう丁重に扱ってきた」(UFJ関係者)という。 ソブリンの素性は今ひとつ明らかでない。三十年以上前にニュージーランドで設立され、現在はモナコに本拠を置く。ジェームス・フィッターという最高経営責任者が名前を表に出しているもののメディアにもほとんど登場しない。ファンドの成績なども非公開でほとんど闇につつまれた存在だ。

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