ようやく始まる“柿のタネ援助”

執筆者:西川恵2003年11月号

 第三回アフリカ開発会議(TICAD3)が九月二十九日から三日間、東京で開かれた。 十年前にアフリカ支援を目的に日本がイニシアチブをとったこの会議は、五年ごとに首脳会議を開いてきた。今回は計八十七カ国、四十七の国際機関が参加し、このうちアフリカ(五十三カ国)はこれまでで最多の二十三カ国が首脳を送り込んだ。 初日の二十九日夜、小泉純一郎首相主催の歓迎レセプションが東京・高輪のホテルでもたれたが、人々の視線を集めたのはスワジランド王国のムスワティ三世国王とラモツァ王妃のカップルだった。同国王はキリスト教徒だが十一人の妻を持ち、今回同行したのは第二夫人。国連開発計画(UNDP)の親善大使も務める元女優の王妃は三十代半ば。百七十センチを越えるスラリとしたスタイルで、褐色の肌のエキゾチックな美貌に人々が振り返った。 しかしカップルが一目置かれたのは、王妃の美貌以上にムスワティ三世国王がアフリカの二十三人の首脳の中で儀典上、最高位の上席を与えられる唯一人の国王だったからだ。南アフリカのムベキ大統領、セネガルのワッド大統領、ナイジェリアのオバサンジョ大統領ら、国としてはスワジランドより遥かに大きくても下位になる。

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