阪神タイガースを下して日本一に輝いた福岡ダイエーホークス。来年まではダイエーだが、それ以降の身売り先は不透明。候補として三洋信販、サントリー、佐川急便の名前が浮かんでは消え、最有力とされた京セラも「九九%なくなった」(ダイエー関係者)という。 実は「京セラホークス」は実現寸前だった。京セラ側は入場料収入、関連グッズの収益などをもとに採算、経済効果を試算し、買収後の負担額は年間五億円程度とみていた。現在同社が出資するサッカーの京都パープルサンガへの支出も同程度。実力、知名度に勝るホークス買収に支障はない、はずだった。ところが、稲盛和夫名誉会長が待ったをかけたのである。 稲盛氏が問題にしたのは、ダイエー側のアプローチ。中内功氏はある経済誌のオーナーを介して稲盛氏に買収を持ちかけ、中内正オーナーも証券会社を通じて依頼。この他人事のような中内親子の姿勢が、「情の人」といわれる稲盛氏の買収意欲に水を差した。中内父子が直接出向いて頼んでいれば、鹿児島出身でもともとホークスに関心があった稲盛氏だけに、簡単に袖にはしなかっただろう。幻に終わった「京セラホークス」を惜しむダイエー関係者は多い。

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