遅ればせながらIT株の復調に乗り、年初来高値を記録するなど、低迷を続けてきた富士通の空気が変わりつつある。ただ、ここに来て対IBMで盟友関係にある米サン・マイクロシステムズの経営不振が富士通を悩ませている。 富士通とサンのUNIXサーバーは、九〇年代にIBMの大型汎用機(メーンフレーム)に取って代わった「ダウンサイジング」の象徴的存在。しかし、最近では他社がUNIXサーバーで安値攻勢に出る一方、米インテル製LSIを使ったIAサーバーも登場。サンの顧客がIBMやヒューレット・パッカード(HP)に流れている。この七―九月期も二億八千六百万ドルの最終赤字となり、「一人負けの様相」(HP幹部)。 富士通はダウンサイジングの嵐をサンから技術を得て乗り切ってきた。サンが最悪の事態になればUNIXサーバーの開発、販売に影響が出るのは必至。さらにIAサーバーの分野では「NECなど他のメーカーの二周遅れ」(国内大手電機幹部)という。年金問題など財務上の問題も多く、サンが支援を要請しても応じる余力に乏しい。六月に就任した黒川博昭社長には最初の難問といえそうだ。

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