小泉内閣がめざす地方分権「三位一体改革」では、地方財政の厳しい状況を改善できない――気鋭の経済学者が、地方債の改革を加えた「四位一体」改革の具体策を提言する。 小泉内閣の改革の柱の一つである「三位一体の改革」が今年六月に経済財政諮問会議で取りまとめられた。 そもそも、「三位一体」とは、地方税、地方交付税、国庫補助負担金を一体として、地方分権改革を行なっていくことを指す。しかしながら、「三位一体の改革」には、残された課題がいくつかあり、特に地方自治体の借金である「地方債」に関する改革の記述が希薄であることは致命的な欠陥である。 地方税、地方交付税、国庫補助負担金のみならず、地方債についても国が強く関与しており、地方債を「三位一体の改革」に含めないなら、地方分権改革は貫徹できない。この観点から、地方分権改革は「三位」ではなく、地方債をも含めて「四位」一体で行なうべきであることを、本稿では提案したい。 本論に入る前に、「三位一体の改革」の内容のなかで、高く評価できる点を挙げよう。地方交付税への依存を低下させるべく、財源保障機能を見直して縮小することが明記され、特に、地方債元利償還金の交付税措置(元利償還金が増加したら地方交付税の配分を増額する措置)を見直すことが明記された点は評価できる。地方税の充実確保のために、課税自主権の拡大を図ることが明記された点も重要である。国庫補助負担金の改革は、今後具体策をさらに詰める必要はあるが方向性としては望ましい。

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