証券取引所再編の動きが強まってきた。「投資家や企業から見れば、ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスなど新興市場に大差はない。市場間競争により一本化されるのが望ましい」――。十月九日に開かれた金融審議会第一部会「取引所のあり方に関するワーキング・グループ」(座長・池尾和人慶大教授)のテーマも再編だった。 二〇〇五年の株式上場を目指す東京証券取引所の次期社長選びが絡み、最近では東京金融先物取引所(金先取引所)と東証の合併というシナリオが浮上している。 東証次期社長をめぐる動きとは次のようなもの。土田正顕社長(元国税庁長官)が株式上場を花道に勇退。その後任に金先取引所理事長を務める斎藤次郎氏(元大蔵次官)が就任する――。 斎藤氏は「十年に一人の大物次官」と言われながら、国民福祉税構想失敗、接待スキャンダル、野中広務氏との対立などから一九九五年、任期満了前に退任。同期入省の土田氏が“大物”次官の天下り指定席・東証トップに就くのを横目に、金先取引所理事長という格下ポストに甘んじてきた。 小沢一郎氏と組んで細川政権を操った斎藤氏に対する敵愾心はいまだに自民党内に根強く、このままでは斎藤氏の復権は難しい。そのため、まず東証と金先取引所を合併させ、その合併会社トップに金先取引所の斎藤氏が就くという「迂回シナリオ」が旧大蔵関係者の間で囁かれているのである。

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