一九九一年に経営破綻した米国の大手生保、エグゼクティブ・ライフに対する仏クレディ・リヨネ銀行の出資規制違反が、米仏対立に発展している。仏政府は九月にカリフォルニア州政府との間で五億八千五百万ドルの罰金を支払うことでいったん和解したが、シラク大統領がこれを拒否したため、和解交渉の期限は十一月二十四日まで延ばされた。期限までに和解しなければ、法廷での闘争が開始されることになる。 ことの発端は、エグゼクティブ・ライフが運用資産の六割をジャンク債につぎ込んだ結果、九一年に米連邦破産法十一条の適用を申請して破綻したこと。それを買収して救済したのが、当時国有銀行だったクレディ・リヨネを中心とする投資グループだった。その後、エグゼクティブ・ライフは九四年に、ピノー・プランタン・グループ(PPR)のオーナーであるフランソワ・ピノー氏の持ち株会社「アルテミス」の手に渡った。 九九年、カリフォルニア州の警察は「銀行は保険会社の株を二五%以上保有してはならない」というカリフォルニア州法違反の疑いで捜査を開始。その後、州検察当局が買収に不正があったとしてクレディ・リヨネを起訴した。水面下では、メール仏財務相がスノー米財務長官と、ペルベン仏法相がアシュクロフト米司法長官と会談するなど、妥協を図ろうとする動きが続いている。にもかかわらずシラク大統領が和解に消極的なのには二つの背景がある。

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