アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が十月二十、二十一日の両日、バンコクで日米中など二十一カ国・地域の首脳が参加して開かれた。 本来は経済協力を話し合うフォーラムだが、焦眉のイラクや北朝鮮問題によって、テロと核、安全保障が中心議題となった会議は世界の注目を集めた。主催国タイのタクシン首相にとっても前例のない桧舞台となった。好調な経済と、巧みな内政・外交運営で政治基盤を強化している首相にとって、タイが東南アジア外交の主軸となり、国際社会で威信を高める格好の機会でもあった。 初日の二十日夜、スリキット会議センターで首脳二十一人と夫人十八人が参加して歓迎晩餐会が開かれた。料理を担当したのはバンコクの最高級ホテル「ザ・オリエンタル」総料理長のウィチット・ムクラさん(四一)率いる二十人の料理人。ウィチットさんは王宮の晩餐会も任されるタイ料理界の第一人者で、事前に首脳から上がってきたリクエストをもとに次のようなメニューを練り上げた。〈コース一〉鶏とコーンのタルト、海老と卵の和えもの、魚のフライ、春巻〈コース二〉トム・ヤム・クン〈コース三〉アヒルの燻製のカレーソース味、鶏と海老のハーブサラダ、ハーブの焼麺、季節の野菜の牡蛎油炒め、アヒルの卵とヒレ肉の和えもの

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