経営難にある仏コンピューターメーカーのブルに対し、NECが約十億円の出資に応じることになった。ブルは筆頭株主のNECやフランステレコム、米モトローラに資金支援を求めていた。 しかし、モトローラは早々と増資の要請を断り、資本を引き揚げ始めた。一方フランステレコムは仏政府がブル支援のため過去に融資した資金の返済を猶予している動きに同調し、増資を決めた。NECはと言えば「仏政府に逆らうと欧州でのビジネスに支障が出かねない上に、携帯電話事業でのフランステレコムとの関係もないがしろにできない」(業界関係者)ため、渋々、資金支援に応じた。 ただ、ブルが立ち直る保証はない。仏政府のブルへの融資については、欧州委員会が「仏が返済を催促しないのは特定企業の支援で、競争政策上問題」と、十月に欧州司法裁判所に提訴している。 NECは過去に世界市場進出を狙って米パッカード・ベルを買収したものの、「半ば腐った会社を買わされ、清算までの損失は業績の足を引っ張った」(NEC幹部)という苦い経験がある。ブルも「長引くようなら第二のパッカード・ベルになりかねない」(競合企業幹部)と見られ始めた。

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