在欧米軍の再配置計画を進める米国が、今年前半にもアゼルバイジャンに軍事基地を設置する見通しとなった。ロシアは警戒を強めている。 在欧米軍の移転は在韓・在日米軍の再配置に先駆けて行なわれ、ドイツやイタリアに駐留してきた部隊の多くがポーランド、ルーマニアなどに移転するが、アゼルバイジャンも最有力候補地。昨年秋以降、ラムズフェルド国防長官や在欧米軍、専門家チームが次々に首都バクーを訪れており、アリエフ政権の了承を取った模様だ。 バクーの外交筋は「バクー郊外にあるナソスニ空軍基地が米軍基地になり、当面は機動的な部隊が駐留。在トルコ米軍の前方作戦基地の役割を果たす」とみている。目的は、バクーからグルジア経由でトルコに至る石油パイプラインの防衛やカフカス地方のテロ抑止、カスピ海油田への影響力強化などとされる。 紛争地域への駐留を嫌う米政府は欧州安保協力機構(OSCE)を通じて、アルメニア・アゼルバイジャン紛争の調停を行ない、成果を挙げている。バクーに巨大な大使館を建設、石油大国の同国をゆくゆくはトルコと同様、同盟国にする構えだ。昨年十月のアゼルバイジャン大統領選でも、欧州監視団が不正を指摘しているさなか、米政府は早々とアリエフ大統領の当選を祝福していた。

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