旧ソ連邦のひとつ、東欧のモルドバ(地図参照)にあるドニエストル「共和国」。一九九〇年にロシア系住民が、ルーマニア系の多いモルドバからの分離独立を宣言して創設したものの、まだ国際的には承認されていない。 その小さな「共和国」が世界の関心を集め始めた。米国や北朝鮮からアル・カエダに至るまでのさまざまな勢力や武器商人らが暗躍し、兵器の一大マーケットになっているためだ。 ドニエストルに隣接するルーマニアの外交筋によれば、同「共和国」には、旧ソ連軍が撤退した後、膨大な量の兵器が残された。多数の地下壕には、放射性物質を搭載したロケット弾から重火器砲弾、地雷まで、およそ貨車三千両分の兵器がある。 昨年以来、アル・カエダの傘下組織や中東の武器商人が「共和国」内の秘密兵器市場で武器購入を図ったほか、北朝鮮の秘密工作員が放射性物質の入手のため、たびたび訪れたとされる。 現在ドニエストルには、CIA(米中央情報局)工作員や英国、フランスの情報機関員も潜入。アル・カエダや北朝鮮の動きに目を光らせ、兵器の流出阻止を図っているという。

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