盗聴問題で逮捕された武井保雄会長が辞任した武富士に対し、米系の企業投資ファンド、リップルウッドが水面下で買収に動き始めた。リップルウッドは保有する新生銀行を二月にも上場する計画。「その売却益を武富士に振り向ける」(大手投資銀行幹部)という。 武富士の有利子負債は昨年九月末で九千六百七十一億円(単独ベース)。うち約四分の一は個人顧客の債権を特別目的会社(SPC)に譲渡し、そのSPCが証券化して海外の投資家に販売する方法で調達したものだ。盗聴問題で武富士の株価は急落、おまけに米スタンダード&プアーズなど格付け会社が格下げ方向で動くなど、資金調達の主な道である社債の発行にも影響が出始めてきた。 こうした状況をみて、リップルウッドは「出資などでスポンサー的な存在に迎えれば対外的な信用を確保できるとチラつかせ、経営権を握る」(同)というのだ。貸し倒れ引き当て率が一〇%以上になった場合、武富士は投資家との間で結んだ契約で借入金や社債の一括償還が定められており、「こうした高いリスクをとれるのはハゲタカだけ」(大手都銀幹部)。 新生銀上場にともなって武富士は一大転機を迎えそうだ。

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