家電業界の淘汰を 環境規制の強化が加速

執筆者:吉野祐2004年2月号

 中国の家電業界が環境規制の強化に揺れている。十一月一日、中国政府は「家庭用冷蔵庫電力消費量およびエネルギー効率等級制度」を発表した。すべての製品を一級から五級までランクづけ、四級以下だと強制的に販売中止させられる。このほかにも家電を含む全産業で、二〇〇五年までに冷蔵庫やエアコンの冷媒としてフロンを使用することや包装材に発泡スチロールを使うことが禁止される。 環境規制に対応するためのコスト負担は家電業界に重くのしかかる。大手メーカーはノンフロン冷蔵庫の開発に、多いところで五億元を投入。国務院発展研究センターの陸刃波氏は、「『冷蔵庫業界のビッグフォー』と呼ばれる海爾、新飛、科龍、小天鵞でさえ、勝ち組と負け組が鮮明になってくる」と指摘する。 環境規制対応に限らずとも、開発コストが経営を圧迫するのは中国家電業界の構造的問題。冷蔵庫を例にとると、主要部品であるコンプレッサーは最大手メーカーでも市場シェア一五%に満たない。部品メーカーが乱立する状態では日本のような系列化も難しく、完成品メーカーにとって部品メーカーと開発コストを分担できないネックがある。ノンフロン冷蔵庫を開発した美菱を傘下に収めた格林柯爾(グリーンクール・テクノロジーズ)など、買収戦略に活路を見いだす新興勢力もあるが、複数ブランドで勝負して成功した事例がないことから先行きを危ぶむ声は多い。

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