東芝のパソコン事業が泥沼にはまり込んでいる。この一月には今年度通期の業績予想の営業赤字額を従来の二百十億円から二百六十五億円に下方修正した。 東芝を含む日本のメーカーを悩ませているのは部品不足と調達コストの上昇だ。パソコン需要の回復や液晶テレビ人気で液晶パネルが品不足に陥り、調達価格が高騰しているほか、記憶装置のハードディスクドライブも品薄。製品への価格転嫁を迫られている日本勢は「低価格攻勢を続けるヒューレット・パッカードやデルなどの米国企業に価格競争力で引き離されつつある」(大手メーカー幹部)。 こうしたなか、東芝内で浮上してきたのがパソコン事業の売却だ。相手は光ディスク装置事業で昨年提携した韓国のサムスン電子。サムスンと東芝は液晶パネルの調達などを通じ「最も親密な仲」で、「サムスン側としても北米や欧州市場攻略のために東芝の技術や販路が欲しい」(業界関係者)。 東芝は今年元日付でパソコン事業を分社化しており、「売却の準備は着々と進められている」(同)という。実現すれば、他の大手も含む日本のパソコン業界の再編が一気に進む可能性もある。

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