外務省は、昨年来凍結していたミャンマーへの経済協力支援の再開に踏み切った。同省は凍結解除のタイミングについて「アウン・サン・スー・チー氏ら国民民主連盟(NLD)幹部の政治的自由が、昨年五月末以前の状況に回復するのが前提」としてきた。NLDの一行が北部サガイン管区で、軍主導の大衆翼賛運動組織「連邦団結発展協会(USDA)」と見られる武装集団に襲われ、当局に拘束されたのが昨年五月末のことだ。 スー・チー氏は依然、自宅軟禁下にあるが、外務省が前提条件を撤回したのは、将来の中国大使への転出も噂される宮本雄二・駐ミャンマー大使の本省への強い働きかけに加え、宮本氏と入省同期の田中均外務審議官が関与に意欲を見せたためだといわれている。 田中審議官は、昨年末の東京での日ミャンマー首脳会談の直後にバンコクで開かれた民主化支援国で構成する「関心国閣僚級会合」に日本政府代表として出席。一月末には、外務省が関係省庁の担当者を集め凍結解除を発表した。しかし、日本の経済協力は軍政の強化につながるだけだと批判的なスー・チー氏には、今回の決定は伝えられていないという。

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