イエメンの首都サヌアには、イラクの旧フセイン政権の要人らが数多く政治亡命しているが、こうした亡命者を取り仕切っているのが、フセイン元大統領のサジダ第一夫人であることは意外に知られていない。 イエメンの外交筋によれば、サヌアにはイラク人亡命者千人以上によるコミュニティーが形成されつつあり、「リトル・バグダッド」とも呼ばれるほど。そのほとんどが元バース党の高級党員や高級官僚とその家族で、イエメン当局の計らいにより、東部のワディアスラフ地区に集団で住んでいる。 サジダ夫人はその中心的存在。フセイン元大統領との間の息子ウダイとクサイは死んだものの、いまだにイラク人亡命者たちの間で大きな影響力をふるっており、「マダム・サジダに嫌われるとリトル・バグダッドでは生きていけない」(イエメン当局筋)ほどだ。 イエメン当局は旧フセイン政権の要人らが多額の現金を携行してサヌア入りすることもあって、亡命を歓迎する立場。その取りまとめ役となっているサジダ夫人も高額の手当てなどで厚遇されており、プライドの高い夫人本人も悦に入っているという。

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