中国の江沢民党中央軍事委主席の広東省視察をめぐり、憶測が飛び交っている。春節(旧正月)前後に指導者が地方に赴くのは恒例だが、新華社や人民日報など国内メディアが今回の江の視察を伝えないからだ。香港紙は江が胡錦濤指導部への対抗の狼煙を上げたと伝えた。江は一月二十日に北京の人民大会堂で「老同志と新年を祝う記念行事」に出席した翌日、広東省入り。前広東省党委書記の李長春政治局常務委員(宣伝担当)、曾培炎副首相(マクロ経済)、最高人民法院の肖揚院長が同行した。 だが、注目は広東省入り後、江に寄り添った黄麗満・深セン市党委書記(党中央候補委員)だ。黄書記は一九八五年に江が上海に転出する前の所属部署、電子工業部で江の秘書を務め、江の総書記抜擢後はトントン拍子に出世した。広東省のトップは依然、江派の張徳江・省党委書記だが、ナンバー2の黄華華省長は、胡総書記の権力基盤である共産主義青年団出身の「団派」。昨年来のSARS、鳥インフルエンザをめぐって情報公開を主張した黄省長の人気はうなぎ上りだ。中国筋は「江はこのところ各地で躍進している『団派』を牽制したのでしょう」と解説する。

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