クレムリン内のホットな噂によれば、「エリツィン・ファミリー最後の一人」ウラジスラフ・スルコフ大統領府副長官の辞任は時間の問題だ。去る一月二十二日スルコフは辞表を提出、プーチン大統領も即座に受理したという。しかし、ロシア政府は三月十四日の大統領選後に発表する意向だ。それも当然、大統領府きっての内政通を欠いては選挙戦を戦えないからだ。選挙後、スルコフはロシア外国貿易銀行(VTB)第一副総裁に就任すると見られている。 なぜ、第一副総裁か? ロシア金融の要であるVTB総裁の座は、カシヤノフ首相の予約席だからだ。プーチンは、エリツィン派の人間を一カ所に集める肚のようだ。そこで、三月以降、VTBを根城に「影の内閣」が生まれる可能性を指摘する声も聞こえる。 別の見方もある。プーチンは、エリツィン派の中でも特に有能な人材を“政権外”に抱えようとしているというのだ。与党「統一ロシア」には、ロシアの難題を解決していく力はない。プーチンには、本当に力のある政党を作るために、スルコフやカシヤノフ、ウォロシン前大統領府長官のような人材が必要なのだ。

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