欧州の金融界で再びM&A(合併・買収)による再編機運が高まってきた。クレディ・スイス・グループがドイツでのリテール(小口金融)事業の展開を視野に買収を模索しているほか、独銀行最大手のドイツ銀行やオランダのABNアムロ、スイスのUBSなどもM&A戦略に前向きの姿勢を見せている。生き残りに向けて合理化を急いでいる独コメルツ銀行やヒポ・フェラインス銀行(HVB)にも合併や買収の観測が漂う。各金融機関のトップは欧州大陸での銀行余剰を一致して指摘しており、いずれ大型合併や買収が動き出すとの見方が強まっている。 再びM&A機運が高まってきた背景には業績の急激な好転がある。ドイツ銀行の二〇〇三年一―十二月決算は純利益が十三億六千五百万ユーロと、前の年の三・四倍に急回復した。仏BNPパリバも純利益が三十七億六千百万ユーロと一四%増加。UBSも純利益が八一%の増益となり、史上二番目の好決算となった。〇一年、〇二年と続いた株式相場の大幅な下落が終止符を打ち、〇三年は急速に株価が戻るなど、市場環境が好転したことが最大の要因。前期まで大幅な株式評価損の計上を余儀なくされてきた投資銀行部門の急回復ぶりが目に付く。

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