ボカラトンG7の「影の主役」は中国

執筆者:小田博利2004年3月号

いまアメリカにとって必要なのは「国内金融政策の自由」を確保することだ。為替問題に振り回されたくない――。中国は、そんな通貨戦略の真意を理解した。 国際会議には、その場には出席しないが会議の流れを決定づける「影の主役」が登場する。冷戦期のサミット(先進国首脳会議)ではソ連だったように、昨今の七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の「影の主役」は、世界経済のなかで比重を増す中国である。日米欧の経済政策協調の装置であるG7会議は、明らかに機能不全を起こしている。 年中湿気に覆われた湾岸産油国、アラブ首長国連邦のドバイから、冬の保養地フロリダのボカラトンへ。ところ変われば、G7会議の雰囲気も変わるのだろうか。共同声明に「為替相場のさらなる柔軟性(more flexibility)が望ましい」とうたってドル安に弾みをつけてしまった前回のG7会議と打って変わって、今回の会議に参加各国は満足顔である。 米国は「さらなる柔軟性」という言葉を再確認させた。前回は米国と組んで「柔軟性」という文言に賛成した欧州は、その後のユーロ高に悲鳴を上げて「為替相場の過度の変動や無秩序な動き(excess volatility and disorderly movements)は望ましくない」という一文を挿入させた。日本もそれに乗った。

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