イラクのサダム・フセイン元大統領が拘束されて以降、すっかり鳴りをひそめているのが元大統領に忠誠を誓っていたバース党の元幹部たち。ヨルダンの消息筋が明かす最新情報によると、彼らは「ヨルダン国籍を取得するため、百万ドルものワイロを極秘でヨルダン政府関係者に渡している」という。 関係者によると、違法の国籍変更を目指しているのは、イラク国籍のままだと国際法廷での訴追の対象になるからだという。取得を画策している元党員は数百人に及び、資金は昨年のイラク戦争開始前に元大統領周辺から渡されたドル紙幣で、ヨルダン側には思わぬ臨時収入になっている。 ヨルダンの首都アンマンには、一九九一年の湾岸戦争から昨年のイラク戦争開戦前までの間、旧フセイン政権に弾圧されたシーア派イラク人たちが逃亡し、この人たちを中心に三十万人から四十万人規模の「イラク人村」が形成されてきた。 これに元バース党員がまぎれ込んでいる形で、フセイン政権が消滅しても、こうして元党員が生き残れば、「米軍が去った後のイラク新政府を脅かす恐れもある」(先の消息筋)と指摘されている。

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