太平洋の島嶼国にはテロリストに利用される可能性がある施策をとる国がある――米国務省高官は、財源獲得を目的にパスポートを売却したり、外資呼び込みのために金融の管理基準を甘くしたりすると、テロリストがこれを利用して国際的な安全保障体制の間隙を突いてくると指摘し、そうした政策の実行を思いとどまるよう強く求めた。 この高官は名指しこそしなかったものの、批判の対象になったとみられる域内諸国には、フィジー、マーシャル諸島、ナウル、パプアニューギニア、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツが含まれている。日本の金融庁も資金洗浄の要注意対象国・地域としてナウルをあげている(ほかにクック諸島、グアテマラ、インドネシア、ミャンマー、ナイジェリア、フィリピン)。 一方、ナウルは破綻した財政再建策の一環として、パスポートの売却やオフショア金融センターの設置に乗り出そうとしたが、米国の強力な反対にあったことから計画を中止。それでも米国の目には太平洋の島嶼国にテロリストのつけいる余地がまだまだ残されていると映っているようで、財政難に直面する太平洋の島嶼国のジレンマはなお続きそうだ。

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