日本と中国がしのぎを削る東シベリアからの石油パイプライン敷設計画で、ロシア政府が日本向けとなるナホトカ・ルートの優先着工をほぼ決断し、中国が日本への怒りを募らせている。 外交筋によれば、中国は代替策としてカザフスタンにパイプライン敷設を働きかける一方、日本への“報復”にも着手しているようだ。日本とフランスが誘致を競う国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地選定でフランスを支持したり、北京―上海の新幹線建設計画で一転、仏独が日本をリードしているのは、靖国問題ではなく、パイプラインを奪われたことへの中国の腹いせとの見方が有力。 もともと東シベリア・パイプライン計画は中国が先行し、ロシアの石油大手ユコスとの間でいったん着工に合意していたが、その後のユコス弾圧や日本政府の七十億ドル対露融資の表明などで日本が逆転。エネルギー源多角化を切望する中国は、口には出さないものの、日本やロシアに対する怒りが強いようだ。 もっとも、日本が多額の資金を投入することになる東シベリア油田は埋蔵量が多くなく、米コンサルティング会社は「時間と金の無駄」と警告しているのだが。

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