[シンガポール発]インドネシアは三月十一日から総選挙の選挙運動期間に突入し、四月五日に投票が行なわれ、その結果を踏まえて七月五日には今後のインドネシアの行方を大きく左右する大統領選挙が実施される。 今年の大統領選は、これまでの国権の最高機関「国民協議会(MPR)」議員による間接選挙から、一億四千七百八十六万人の有権者による直接選挙となる。より民主的な選挙になる一方で、初の試みだけに不確定要素も多く、何が起きるか分からない。そもそも、選挙はインドネシア人にとっては“お祭り”のようなものだ。だが、結果によっては社会的不安の増幅や、経済への影響が懸念されることは言うまでもない。外国の投資家や企業は事態を静観しているが、それは過去の選挙に学んでいるからだ。 四月五日に投票される総選挙では、前回一九九九年の総選挙で第一党となったメガワティ大統領率いる闘争民主党(前回得票率三三・七%)、スハルト時代の与党から第二党に転落したゴルカル党(同二二・四%)、以下国民覚醒党(同一二・六%)、開発統一党(同一〇・七%)、国民信託党(同七・一%)が争う。主要五党が票を奪い合うという構図は基本的に変わらない。ゴルカル党、開発統一党はいずれもスハルト政権下の三政党時代からの全国組織であり、選挙ノウハウ、豊富な資金源や全国規模の支持基盤をもっている。新政党の国民覚醒党、国民信託党もそれぞれ「ナフダトール・ウラマ」、「ムハマディア」というイスラム教組織を支持母体とし、「全国区の政党」といえる。

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