独自動車大手ダイムラークライスラーが三菱グループに手を焼いている。三菱サイドのリークと思われる日本発の情報が相次いでおり、三菱自動車再建の主導権を握れずにいるからだ。 二月上旬、日本のメディアは三菱自動車について、二千億円規模の増資を実施、三菱重工業や三菱商事など三菱グループが一丸となって再建を支えるという見通しを一斉に報じた。三分の一を超える三四%の株式を持つ筆頭株主のダイムラークライスラーについては、増資に応じて持ち株比率を維持する見通しという観測が添えられていた。本来なら筆頭株主で社長を派遣するダイムラーが再建の青写真を描くのが当然だが、三菱グループ主導で計画が進んでいることを窺わせた。 通常、重要案件への拒否権を持つ三分の一の株式をおさえ社長まで送り込めば、完全に経営権を掌握出来る。ルノー傘下の日産自動車も同様だ。ところが三菱自動車の場合、この国際的な「常識」が通用していない。三菱グループの関係者はいまだに「三菱グループの保有株を合わせればダイムラーを上回る」と嘯く。「三菱自動車の社長交代の予定は含まれていない」。二月末、ダイムラークライスラー本社の広報担当者は、繰り返し寄せられる日本のメディアからの問い合わせにうんざりした様子だった。三菱自動車に派遣しているロルフ・エクロート社長が退任、後任にアンドレアス・レンシュラー氏が就任するとの報道が相次いだのだ。通常なら広報担当は、市場のうわさには「ノーコメント」で通すのが一般的。それを否定してみせただけでも異例の対応と言えたが、明らかに東京で流れている情報を確認しようがない様子だった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。