急拡大する広告市場に大攻勢をかける電通

執筆者:五味康平2004年5月号

 電通が中国の広告市場の取り込みを狙って大攻勢に出ている。昨年十一月に北京大、復旦大など中国の一流大学六校と共同で中国初の広告専門の大学、広告伝播学院を設立する契約に調印。同学院は今年九月、北京に大学院をまず開校、来年九月に大学部門もスタートする。広告に関心のある中国のトップクラスの人材に電通を強く印象づけるとともに、学院の卒業生をそのまま電通の中国合弁企業に取り込む戦略だ。 さらに北京電通広告など中国のグループ企業の陣容を三年で三〇%以上増やす計画。テレビ、新聞、雑誌など媒体別に対応できる営業系人材を増強するとともにクリエイターの陣容を外資系トップの規模まで拡大する。 中国の広告市場の売り上げ規模はまだ約一兆五千億円と日本の四分の一にすぎないが、世界でみればすでに五―六位に相当している。しかも消費ブームにのって家電、自動車から食品、化粧品まで広告需要は年率二〇―三〇%の勢いで拡大しており、世界の大手広告会社にとってみれば、すでに最重点市場だ。特に二〇〇八年に北京五輪、二〇一〇年に上海万博という二大国家イベントを控えており、「広告需要は湧くように出てくる」と関係者はみる。需要を取り込める陣容があればいくらでも業績を伸ばせる可能性がある。

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