「エコテロリズム」と戦う知恵

執筆者:大野ゆり子2004年5月号

 友人たちが、ここのところ折にふれて同じ教訓を口にする。フランス人のイザベル、英国人のピーター、ドイツ人のマルク。それぞれ別に会って、別の話題をしているのに、終わりは偶然にも“Carpe Diem!”。「将来の憂患を思わず、今を最高に楽しめ」という古代ローマの詩人ホラティウス(紀元前六五―前八年)の言葉で、各国語に残っている金言だ。 明日、自分がテロに巻き込まれるかもしれないという漠然とした不安感は、約二百人の死者を出したマドリッドの列車爆破テロ以降、ヨーロッパ人の中で、よりはっきりと意識されるようになった。それは、イラク派兵に積極的で、ロンドンへのテロを「不可避」と述べた英国やイタリアなどにとどまらない。米国との間に距離を置いていたフランスも、イスラム教の生徒に公立学校内でヴェール着用を禁じる法案を可決した直後、「イラク、アフガンでの武力行為と同罪」としてテロリストから脅迫を受けている。「ニューヨーク9.11」「マドリッド3.11」という数字の符合は、狂信的なイスラム原理主義者が、特定のシンボルに固執していることを示すという。過去におきたイスラム原理主義者によるテロの七割が、木曜日、金曜日に集中しているという説もある。また、ニューヨーク同時多発テロに刺激を受け、法的には生粋の欧州人である移民の子供たちが、社会への不満のはけ口をイスラム原理主義に見出し、初犯でテロリストとして摘発されるケースも少なくない。それだけに、いつ、どこでテロに遭うかと考え始めれば、不安の材料には事欠かない。

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