不祥事と経営不振で自ら八方塞がりの状況を招いた三菱自動車に、生き残りの道はあるのか――。「はっきり言って、誰もこれ以上の支援を続けたいとは思っていないんだ。ボディーに『スリーダイヤ』さえついてなかったら、とっくに手を引いてるよ」 四月二十三日、ダイムラークライスラーのシュレンプ会長が三菱自動車工業に対する金融支援打ち切りを突然公表した日の午後、三菱グループ企業のある首脳は、臆することもなくそう語った。 今や完全に自力再生の道を閉ざされ、消滅の危機にすらある三菱自動車の行方は、現時点では闇の中だ。しかし、皮肉なことに日本車のトップブランドのひとつに数えられるだけに、「日本経済の情勢を考えると簡単には市場から退出はさせられない」(経済産業省幹部)とする関係者も多く、再生に向けた水面下での調整が激しく展開している。「ダイムラーの裏切り」 北米での販売拡大を狙ったゼロ金利ローンの焦げ付きと、相次ぐリコールなどで消費者の信頼を失ったことから国内販売が低迷した三菱自動車の再建のために、三菱重工、三菱商事、東京三菱銀行の三社を中心とする三菱グループと、三菱自動車の親会社、ダイムラーの間で進められてきた交渉は困難を極めた。

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